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週刊スピリッツ

2022.07.20

『アオアシ』プレミアム対談 中村憲剛×小林有吾

週刊スピリッツ

かねてより親交のある二人があのキャラクターのこと、W杯のことなどをフルボリュームで語り尽くす!!!!!

※本インタビューは、週刊ビッグコミックスピリッツ39号(8月29日発売、発行/小学館)に掲載されたものを再編集したものとなります。

二人の出会い

インタビューアー:――お二人は日頃から交流があると聞いていますが、いつぐらいから始まったのでしょうか。

小林「2年前の2020年ですね。憲剛さんが現役引退した年にイラストを描かせていただいたのですが、引き合わせてくれたのは、当時愛媛FCにいた森谷賢太郎もりやけんたろう選手(現:サガン鳥栖)です。元日本代表で、川崎フロンターレのレジェンドのお話を聞いてみたくて頼んだら快く受けてくださって、これだけのことを達成した人がなんでも答えてくれて感動しました。それが作品の力になっています。そこからはLINEでも質問攻めにしています(笑)」

中村「先生は湯水のように質問が出てくるので、話し甲斐があるんです(笑)。もともと僕自身がアオアシを読んでいたというのもありますが、作品から先生の熱量を感じていたので、賢太郎の話にも『喜んで』と言いました。小林先生はサッカーが大好きで勉強もしているし、リスペクトもすごく感じます。その熱量がアシトたちの躍動に繋がり、読者に伝わってきます。僕の周りでもアニメを含めて親子でアオアシを観てますよという人が本当に多いです」

インタビューアー:――小林先生からはどういう質問が多いんですか。

中村「自分が普段はあまり話さないようなことを訊いてくれます。『このプレーはどんなことを考えてやっているんですか?』ということが多いですね。現役時代はあまり訊かれませんから(苦笑)。先生は、そこのリアルな感覚を掴みたくて訊いているのだと思いますが、そこを丁寧に言語化していくと、自分の頭の中が整理される感覚があります。今は育成年代で指導者として選手たちに接することが多いのですが、言語化して整理されたものがそのまま出ることが多いので、引き出しは増えました。つまり、アオアシでインスパイアされたものが、リアルの育成現場にも落とし込まれているということです」

小林「それは嬉しいなぁ。自分は漫画家の中でも取材が好きなほうだと思います。たくさんのプロ選手にお話を伺って、それが作品の力になっています。ただ、憲剛さんの話を聞いた時に、この人の言うことは『答え』だなと思ったんです。見てきたもの、達成してきたものが特別すぎて突き抜けているというか、ほかのサッカー選手とも違うんです。たとえば、一つのプロフェッショナルの考えに対し、それが100%正しいと言えることはないと思います。でも、憲剛さんの話を聞いていたら、これを『答え』としてそのまま描けばいいじゃないかと思ったんです(笑)。言葉が強いですね、そういう意味では」

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